本物の香りの「命」に触れる――サンダルウッドが教えてくれた調香の深淵
先日、毎月参加しているAOF(SOW調香学校)の山口さんの講座に出席してきました。今回のテーマは、山口さんの秘蔵コレクションであるヴィンテージの「クロエ」のパルファンを分析し、そのフォーミュラをモデリングするという非常に贅沢な内容でした,。
「本物」だけが持つ圧倒的な輝き
講座を通じて改めて痛感したのは、昔の香水が持つ圧倒的な質の高さです。現代の香水とは異なり、本物の精油が非常に高い比率で使用されているため、香りの奥行きが全く違います。私自身、普段は香料に対して厳しい目を持っている自負がありますが、それでも「やはり現代のものとは別格だ」と唸らされる瑞々しさがありました。
危機に瀕する現代のサンダルウッドと「本物」の差
中でも、最後に嗅がせていただいたサンダルウッド(白檀)の香りには、言葉を失うほどの衝撃を受けました。
実は昨今、サンダルウッドを取り巻く環境は厳しくなっています。最近流通しているものの多くは品質が落ちてきているのが現状で、中には混ぜ物がされていたり、本来の「香木としての白檀」とはかけ離れてしまっているものも少なくありません。 私自身、直近で触れたサンダルウッドには納得がいかないことが多く、その質の差を肌で感じていました。
しかし、今回山口さんが出してくださったサンダルウッドは、まさに別次元でした。
- 独特のナッティ(ナッツのような芳醇さ)と、枯れたようなニュアンス。
- うまく表現できませんが、非常に重要な「乾燥した質感」がそこにありました。
私は普段「非加熱」の香りにこだわって制作を行っていますが、そうした手法を超えて「本当に良いサンダルウッドとは何か」を突きつけられた気がします。こうした「命ある本物の香り」に直接触れる体験は、調香において何よりも重要なことだと改めて実感しました。
刺激に満ちたコミュニティ「チームムエット」
この講座が素晴らしいのは、香りそのものだけではありません。山口さんが主宰するこの「チームムエット」には、驚くほど知識や経験が豊富なメンバーが集まっています。
皆さん本当に香りを愛し、長年探求し続けてこられた方ばかり。詳しくは伺っていませんが、その道のプロフェッショナルと思われるような「すごい人」も多く、飛び交う会話を聞いているだけでも、私にとって大きな学びになります。 本物の香りに触れ、志を同じくする仲間と語り合えるこの場所は、香りを志す方には本当におすすめです。
山口さんとの歩みと、これからの活動
こうした深い学びを与えてくれる山口さんとは、実はもう10数年来の付き合いになります。
出会いのきっかけは、私が精油の性質についてあちこちに問い合わせをしていた頃のこと。当時から「非加熱の香りを作っている」とマニアックな話をしていた私を、山口さんは「この人は絶対に変な人だ」と面白がって記憶してくださったそうです。
それ以来、東京で一緒に龍涎香(アンバーグリス)をコーヒーに浮かべて飲んだり、名古屋で「アンバーショー」を開催したりと、香りの真髄を探求する様々な活動を共にしてきました。
本物の香りに触れるたびに、探求に終わりはないと感じます。山口さんやチームの皆さんからいただく刺激を、これからも自身の活動に活かしていきたいと思います。


